2020.10.20

音のない世界

「咲む」

先週の金曜日に、全日本ろうあ連盟が創立70周年を記念して制作した映画「咲む」の協賛企業対象上映会に行ってきました。

皆さんは、ろう者に対してどのようなイメージをお持ちですか?

私自身は、ろう者の親族がいたため小さい頃から身近な存在で育ちました。ですので、小学生の頃からろう者や障がい者に対しての偏見は全くない環境で育ってきました。

そんな私だったのですが、手話応援で親交をもった大宮ろう学園の保護者との出会いから自分自身の考え方の未熟さを痛感した出来事がありました。それは、ろうあ者として音のない世界で生まれてきた子が、健常者と同じように”言葉”を習得するまでには並大抵の努力ではないということを教えてもらったことです。

言われてみれば当たり前のことですが、言われるまではそのことに全く気付くこともできませんでした。

非常に恥ずかしい思いをしたのを思い出します。

例えば、赤ちゃんが1歳くらいになると「ママ」や「パパ」と言葉を話し始めますが、赤ちゃんは、耳から言葉の情報が入ってこないため「ママ」や「パパ」はおろか、自分の感情を言葉で言い表すことができません。

ろう者が日常の何気ない単語や言葉を習得するまでには、私たちには想像もつかないくらいの努力がそこにあることを皆さんにも知ってほしいです。そして、その陰には子供と向き合う親御さんの葛藤や努力があることも同様です。

ろう者の方々との出会い、ご縁は、私たちがサービスを提供する建物や施設づくりをしていくうえでの新たな視点もいただいています。建物を利用される方々、お住まいになる方々の中にはろう者をはじめとする、障がいをお持ちの方や社会的弱者といわれる方々もいらっしゃいます。

そんな方々にも「安心して」「安全に」そして「快適に」感じてもらえる、建物、施設管理をご提供していきたいと強く思っています。そして、多くの方に、音のない世界があることを知っていただきたい、それだけでも今まで以上により良い社会づくりにつなげていく事ができると思います。

「咲む」を鑑賞して、私自身の障がい者に対しての想い、ノーマライゼーションでフラットな社会づくりを改めて深く考えさせられました。